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ご購入に関するお問い合わせは、メールにて受け付けております。 メール:genki@genki-shobou.co.jp TEL03-5283-3934 幻戯書房刊行の書籍の詳細は小社ホームページをご覧ください。 幻戯書房 (げんきしょぼう)は 歌人で作家の辺見じゅんが、父であり、角川書店の創立者である角川源義の創業の精神を受け継ぎ、設立した出版社です。 ライフログ
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2017年 08月 14日
西江雅之
ことばだけでは伝わらない コミュニケーションの文化人類学 ISBN978-4-86488-128-9 C0095 本体2200円+税 8月下旬刊(8月24日からの出荷を目指しています) 冒頭部「はじめに」を、刊行を前に、先行して公開いたします。 本書は、「考える人」連載を書籍化するにあたり、生前の西江先生ご本人により、加筆、整理、修正されたものです。 世界各地を旅する中で、1960年代から考え続けられてきた独自のコミュニケーション理論=西江学の集大成となる本書の、イントロダクションです。本書で基本概念となる「伝え合い」とは何か、また、お読みいただきたい方への希望が、込められています。 ◆はじめに◆ 西江雅之 人と人との「伝え合い」。それが「ことば」だけで成り立つと考える人は意外に多いようです。それどころか、現場で話されているナマの「ことば」と、文字で書かれた「言語」を混同している人は、さらに多いのではないでしょうか。 本書は、人と人との現場での対面的なコミュニケーション(わたしは、それを「伝え合い」と呼んでいます)をとらえるためには、どのような要素を考えればもっとも効率よく的確にとらえることができるか、を考えることを目的としています。こうした「伝え合い」は、あまりにも日常的で、あらためて考察すべき対象とは思われないかもしれません。しかし、実際には、それを丸ごととらえようとすることは不可能と言えるほど、「伝え合い」は非常に複雑なあり方をもったものなのです。「伝え合い」に関連した従来の研究の多くは、「言語」とそれ以外の「非言語」の領域に分けられて、言語学やノンバーバル・コミュニケーション(non-verbal communication 非言語コミュニケーション)研究などの分野で扱われてきました。こうした研究には、「言語」や「身ぶり」、「視線」などといった「伝え合い」の一側面を切り離して個別に扱う傾向が強く見られます。 言語学でいう「言語」とは、実際の「伝え合い」の場で誰かが話しているナマの「ことば」から、文字などの助けを借りて紙の上に記述することでとらえられた、いわば「ことばの標本」にすぎません。一方で、「おはよう」という「ことば」を実際に話せば、誰の声なのか、男性の声か女性の声か、優しく言っているのか不機嫌な調子なのか、早口なのかゆっくりした口調なのか、といった様々な特徴が必ず伴ってきます。「伝え合い」においては、何を言ったかという「言語」面だけでなく、むしろ、誰がどのように言ったかという部分が大きな意味をもつことが少なくありません。しかし、文字で「おはよう」と書かれた時点で、すでにそこからは現実の「ことば」の声がもつ個人的特徴、性別特徴、情動、強弱、スピードなどは切り捨てられてしまっています。 さらに、現場でお互いに面と向かって伝え合う際に、「ことば」だけで相手に何かを伝えることができるでしょうか。「伝え合い」においては、いつ、どこで、誰が、誰と、どのように、といったことがすべて関係してきます。その「どのように」には、「ことば」だけでなく、「身ぶり」や「顔の表情」、「姿勢」といった「身体の動き」に関する要素や、人が身に着けている各種の「装い」、さらには互いの距離のとり方や体の向きといった「空間」、伝え合いにおける「時間」の使い方なども関わってきます。それどころか、そうした要素が「ことば」以上に雄弁に意味を伝えている場合があることは、皆さんの日常での経験からも実感できるところではないでしょうか。 わたしが強調したいのは、「伝え合い」においては、「ことば」やそれ以外の要素はどれ一つとして独立してそれだけで現れることはない、つまり、同時に溶けあって働いているという、ごく当たり前のことです。そのうちのいずれかの要素をテーマ化する場合には、その他の要素との関係の中でとらえなければなりません。しかし、いったん研究となると、「こんな身体動作をすれば、こんな意味が伝わる」といった具合に、「伝え合い」の一要素のみを対象としているにもかかわらず、あたかも「伝え合い」全体をとらえているかのような錯覚に陥っている例が少なくないのです。確かに、このように一要素で区切りをつけてしまえば、一見、話題が整然と見えて説得力をもちます。しかし、それは一種の「身体動作の標本」についての話であって、たとえば同じ「お辞儀」一つとっても、現実の「伝え合い」では、いつ、どこで、誰が、誰に、どのようにするかといった、その他の要素との関係で、相手に伝える意味は様々に変わってきます。 「伝え合い」をとらえるための「七つの要素」についての考えは、わたしが半世紀近く前から温めてきたものです。「伝え合い」の複雑さへの思いの原点は、動物好きで、身のまわりのスズメやネコたちの仲間になりたいと本気で思った少年時代にありました。また、言語や文化の研究のために、アフリカやカリブ海域、オセアニアをはじめ、秘境などと呼ばれる場所にもしばしば身を置いてきましたが、そうした土地の人びととのやりとりは、人間の「伝え合い」がもつ文化背景の問題について、実に多くのことを教えてくれました。 現実の「伝え合い」は、手に負えないほど複雑な背景に支えられています。しかも、どのような「伝え合い」も一回かぎりのものです。そんな複雑で一回かぎりのものを考察の対象にしても無駄であるといった見方もあるでしょう。わたしの見方は、既成の「学」からは少々あふれ出した部分もあるかもしれません。本書での話題は、「伝え合い」に関する既成の学問の紹介ということではなくて、人と人との「伝え合い」のあり方を考えるための枠組みを提供するということに主眼を置いています。日常生活の中で「伝え合い」について考えるときに、ここからさまざまな気づきが生まれてくることを期待しています。 ◆目次◆ はじめに 第一章 「言語」とは「ことば」の標本である 第二章 「ことば」だけでは伝わらない 第三章 「伝え合い」をとらえる――コード・メディア・メッセージ 第四章 「伝え合い」における「制約」 第五章 「伝え合い」における「空間」 第六章 「伝え合い」における「時間」 第七章 「社会構造・社会組織」と「装い」 第八章 ことば通じて意味通ぜず 第九章 「伝え合い」を支える「文化コード」――「異なる」ということ ご予約お受けしています。
by genkishobou
| 2017-08-14 17:09
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