淡い交りだった―
静寂な川の流れに、生きては会えぬ人のおもざし。
あたうかぎりの寡黙と忍耐に秘めた
原爆の影。
竹西寛子
五十鈴川の鴨
『長城の風』(94年、新潮社)から17年。『蘭』(05年、集英社文庫、自選短篇集)から6年ぶりの小説集。
広島での被爆体験を、寡黙さと穏やかさの下で隠して生きてきた男を、人と人の淡い交わりの中で静かに描いた表題作「
五十鈴川の鴨」をはじめ、忘れえぬ人の面影を追った「
雲間の月」など、清冽にして静謐なる言葉で紡がれた8つの物語。
【収録作品
】 五十鈴川の鴨 木になった魚 くじ 雲間の月 椿堂 桜 船底の旅 氷の枕(96年から2006年に文芸誌に発表し、本書が初の書籍化)
29年に広島で生まれた竹西さん。原爆の影とよりそいながら創作された作品。放射能の不安が世の中を覆う今、竹西作品はいっそう心に沁みます。ご期待ください。
2011年8月上旬刊予定ISBN978-4-901998-78-9
予定価 2520円
四六上製クロス装 208頁
◆7月の新刊
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餞(はなむけ)
絵筆のナショナリズム フジタと大観の〈戦争〉
の2点は、上旬刊を目指していましたが、中旬の刊行となります。