〈昭和の歌〉を手がかりに日本人のこころと季節のうつろいを綴る12か月
三田 完 初エッセイ集
歌は季につれ
NHKで歌謡番組を制作、もちに、阿久悠、小沢昭一を支えた三田完が、俳句同人誌に連載した名エッセイ。
あの歌、あの歌手、そして一句 季題に寄せた妙なる競演
“歌は人生に熱と活力をもたらし、俳句は熱をほどよく冷ます妙薬である”
■本文より
■おそらく私は、生身の美空ひばりと仕事をすることのできた最後の世代なのだ。その世代はあと数年で、放送局からもレコード会社からもいなくなる。そろそろ、自分も歴史を語る年齢になったということだ。
■言及される歌の数々
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「冬の星座」
「野崎小唄」
「黄色いさくらんぼ」
「ペッパー警部」
「赤とんぼ」
「庭の千草」
「秋桜(コスモス)」
「天城越え」
「蛍の光」
「雪の降る町を」
「美しき天然」
「リンゴ追分」
「アカシアの雨がやむとき」
「宵待草」
「ラジオ体操の歌」
「17才」
「花はおそかった」
「青い山脈」
「渚のはいから人魚」
「ひばりの佐渡情話」
「チャンチキおけさ」などなど
■著者紹介
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三田 完(みた・かん)
1956年埼玉県生まれ。慶應義塾大学応援指導部出身。NHKで主に音楽番組を担当。退職後もテレビ・ラジオ番組制作、音楽プロデュースなどに携わる。また俳号を知水とし、〇七年の直木賞候補となった『俳風三麗花』では登場人物七人の句作を書き分けた。著作に『櫻川イワンの恋』『当マイクロフォン』『黄金街』などがある。
昭和は遠くなりにけり
装幀:間村俊一
装画:宇野亜喜良

四六上製 224頁
本体予価2,200円
ISBN978-4-86488-015-2 C0095
2013年2月23日頃刊行
追悼 藤本義一
20年前の「スポニチ」大阪本社版連載小説、初の書籍化
「タイガースだけが、信じるに足る存在やないか」
「どうせ虎に食われた男や。骨まで食べられて本望や」
藤本義一
虎に食われた男
「ひげの団長」こと元阪神タイガース私設応援団長・松林豊を主軸に、戦後球団史を通して、“虎”という魔物に魅入られた男たちの姿をほぼ実録で描く、熱狂的、
決定版・小説阪神タイガース。作中の野球人の心性の緻密な分析や、ドラマティックな展開は、藤本義一文学の真骨頂
■本文より
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タイガースファンには、この自虐と屈折の心理が宿っているように思う。一言でいえば、継子(ままこ)の心理だ。
人生の苦さを味合った者だけがタイガースファンになるのだと、おれはずっと信じ
ている。
巨人が総合商社なら、阪神は駅前商店街なのだ。
その荒木の前に、彼が想像もしなかった
阪神タイガースの新しい面々が登場する。これは熱血歴史小説そのものの気がした。
(……)
「人生なんや。やっぱりタイガースは人生の浮沈を語りかけてくれるんや」
「戦前、戦中の統一というのは、上からの命令で生れたものや。自然に生れた真の統一やない。あれは強制的な束縛というた方がええかもしれん。それが戦争に敗れて開放されたわけや。天皇陛下も人間宣言しはったわけや。これからの日本ちゅうのは、上からの命令で束縛されん自由の国や。それが阪神応援団やないか。雑草は死なずや。阪神ちゅうチームの魅力は雑草の魅力やがな。その雑草を勇気付けるためにやな雑草応援団を結成せんといかんのや」
■藤本義一さんは、1933年大阪生まれ。74年「鬼の詩」で直木賞受賞。2012年10月30日病没。
四六判ソフトカバー 400頁
本体予価2000円
ISBN978-4-86488 -016-9 C0093
2013年2月23日頃刊行