8月30日急逝 稲葉真弓さんを悼む
病床で綴った「あとがき」 本人公認の最後の本
稲葉真弓
少し湿った場所
10月10日頃刊行
四六上製288頁
本体予価2200円
ISBN978-4-86488 -058-9 C0095
装幀:緒方修一
【あとがき より
】本書において二百八十ページあまりあったのに、そしてそれが私の全人生であったのに、こうして眺めてみるとなんとまあ、薄くコンパクトに整っていることか。(略)
桜が揺れ、五月がひそひそと通り抜け、生者も死者も一緒にいる。こんな本を作ってみたかった。ごったまぜの時間の中に、くっきりと何かが流れている。こんな本を。
初でありながら最後となってしまった本格エッセイ集
【本書構成
】
1. 猫と暮らして
2. 都市という生き物
3. 故郷のかおり
4. そこにある本
5. カレンダーのなかの四季
6. 半島にて
※1990年代から死の直前までの新聞雑誌などに発表したエッセイを厳選
【著者紹介
】稲葉真弓(いなば まゆみ)1950年愛知県生まれ
1973年に女流新人賞。その後、作品賞、女流文学賞、平林たい子文学賞、川端康成文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。『半島へ』(2011年)で谷崎潤一郎賞、中日文化賞、親鸞賞を受賞。本年、紫綬褒章受賞。
本年8月30日、膵臓癌のため死去。