◆西欧近代の身体観をのりこえる舞踊と身体の30章
渡辺 保 書下ろし
身体は幻
四六上製 236頁 本体予価2400円
ISBN978-4-86488-062-6 C0095
2014年12月10日頃刊行
日本人は自分たちの「身体」をどのように考えてきたのか。手がかりは、能や歌舞伎、京舞など日本の舞踊にある。あれほど装飾性を排した能において衣裳だけが絢爛豪華なのはなぜか。勘三郎・三津五郎はじめ歌舞伎の名人に小柄なひとが多い理由とは。なぜ大野一雄が老いてなおいっそう輝いたのか。はたまた、茶室においてお喋りが禁じられているのはなぜなのか。これらはすべて日本のユニークな身体観―物理的な「モノ」としての身体をイメージ化する―へつながっている。
稀代の劇評家が、日本舞踊の方法論とその深層にある日本文化、さらには日本人の身体観を思索する。渾身の書き下ろし。
身体が溶ける。そんなバカなと思われるかもしれない。しかし三津五郎にかぎらず、友枝喜久夫でも、四代目井上八千代でも、私の見た名人たちには必ず、そういう瞬間がおこった。【本文より】
●著者紹介 渡辺 保(わたなべ・たもつ)
1936年、東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、東宝演劇部企画室を経て、演劇評論家へ。『女形の運命』で芸術選奨文部大臣新人賞、『忠臣蔵』で平林たい子文学賞・河竹賞、『娘道成寺』で読売文学賞、『四代目市川団十郎』で芸術選奨文部大臣賞、『河竹黙阿弥の明治維新』で読売文学賞を受賞。2000年に紫綬褒章、2009年には旭日小綬章を受章。著書に『歌舞伎手帖』『女形とは 名女形雀右衛門』『歌舞伎 型の真髄』など多数。
幻戯書房からは、酒や煙草など嗜好品からみた歌舞伎エッセイ『煙管の芸談』を刊行している。