読書人のための、新たな文芸書シリーズ
銀河叢書
2015年1月より、発刊いたします。
敗戦から七十年。
その時を身に沁みて知る人びとは減じ、日々生み出される膨大な言葉も、すぐに消費されています。人も言葉も、忘れ去られるスピードが加速するなか、歴史に対して素直に向き合う姿勢が、疎かにされています。そこにあるのは、より近く、より速くという他者への不寛容で、遠くから確かめるゆとりも、想像するやさしさも削がれています。長いものに巻かれていれば、思考を停止させようと、儚くも居心地はいいことでしょう。しかし、これを疑う者は、居場所を追われることになりかねません。自由とは、他者との関係において現実のものとなります。いろいろな個人の、さまざまな生のあり方を、社会へひろげてゆきたい。読者が素直になれる、そんな言葉を、ささやかながら後世に継いでゆきたい。
幻戯書房はこのたび、「銀河叢書」を創刊します。
シリーズのはじめとして、戦後七十年である二〇一五年は、〝戦争を知っていた作家たち〟を主なテーマとして刊行します。星が光年を超えて地上を照らすように、時を経たいまだからこそ輝く言葉たち。そんな叡智の数々と未来の読者が、見たこともない「星座」を描く――
「銀河叢書」は、これまで埋もれていた、文学的想像力を刺激する優れた作品を、厳選して紹介してゆきます。それは、現在の状況に対する過去からの復讐、反時代的ゲリラとしてのシリーズです。
■「銀河叢書」の特色
◎初書籍化となる貴重な未発表・単行本未収録作品を中心とする
◎ユニークな視点による新しい解説
◎清新かつ愛蔵したくなる造本
四六上製 200頁~400頁 本体予価2200円~4400円
2015年1月2点刊行、以後隔月刊
●第Ⅰ期 ラインナップ
第1回配本2点
田中小実昌 短篇集
くりかえすけど
※戦争は頭のわるい連中がおこしたものだ―
その眼差しが其処此処に滲む作品集。
生誕九十年・没十五年記念出版
解説:田中 開 予352頁 本体3200円予
ISBN978-4-86488-064-0 C0393
小島信夫 随筆・評論集
風の吹き抜ける部屋
※「小説とは何か、〈私〉とは何か」。独自の作品
空間を啓いた小説家の、「批評集成」にも未収
録の貴重な評論・随筆を精選する。
生誕百年記念出版。
ISBN978-4-86488-063-3 C0395
解説:近藤耕人 432頁 本体4300円予
◆続刊予定(変更となる可能性もあります)
舟橋聖一 自伝
文藝的な自伝的な
※絶筆となった未完の長篇
島尾ミホ 長篇小説
海 嘯 (かいしょう)
※戦前の奄美を描いた唯一の長篇
石川達三 日記+随筆
徴用日記 その他
※戦時中の日記と未刊行エッセイ
野坂昭如 随筆
マスコミ漂流記
※焼跡闇市からの「成り上がり」を描く自伝・未刊行作
◆以後、続刊
ご期待ください。