
銀河叢書第2回配本
裕福な実業家の家に生まれ、文化的にも恵まれた暮らしだからこそのの、社会の矛盾も体験。日本の文壇、日本社会の証言者であった舟橋聖一。戦後70年の今だからこそ、その存在が重みを増す。実はスゴイぞ、
舟橋聖一2点同時刊行!
文藝的な自伝的な 未完の自伝ほか
「わたしの人生は縮緬の肌ざわりからはじまった」――
足尾銅山の元所長を祖父に、東京帝大の地理学教授を父に持った少年は、のちに文壇を代表する小説家となった。芸能・文学体験と、軍国主義への反撥を軸に、自身の幼年期を通して戦前日本の縮図を精緻に描いた、死によって途絶えた長篇自伝。
阿部知二、川端康成、里見弴との交流など単行本未収録エッセイを加える。
解説:
石川 肇 四六上製 368頁 本体3600円 ISBN978-4-86488-069-5 C0395
●本文より
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わたしの生れる少し前に、足尾銅山の鉱毒事件が、世間を震撼させる社会的話題になったことは誰れ知らぬ者もなかった。しかも事件に直接関係のある足尾銅山の所長が、わたしの祖父近藤陸三郎だと言うのだから、それをわたしがどんな風に考えたか、または考えさせられていたのか。これはわたしの一生に重い翳となった。なにしろまだ八ツそこそこの子供では、事件に関する罪の意識がある筈もない。
谷崎潤一郎と好色論日本文学の伝統
「戦時下の文士の仕事はそれでいいのだ」 暗い時代を通じて親しく交わった文豪を回想する「谷崎潤一郎」。「源氏物語」に対する日本人の受容の歴史を描き、「日本文学の伝統とは、好色である」と喝破する「好色論」。猥褻、言論統制、ファシズムとプロレタリア、作家の政治参加……「性」と「政治」と「文学」の拮抗をテーマとする、いま再考されるべき評論的随筆集。
谷崎潤一郎没50年記念出版
解説:
石川 肇 四六上製 336頁 本体3300円 ISBN978-4-86488-071 C0395
●本文より
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石原(慎太郎)君が芥川賞候補になったとき、私は佐藤春夫氏や宇野浩二氏と激論してまで『太陽の季節』を受賞におしきったのです。そのとき佐藤さんは『こういう作家を推すと、将来君の小説が売れなくなるよ。石原にお株をうばわれるぞ』とまで言われました。『それでもいいんです。石原が栄えて僕が衰える、それは有為転変でしょう』と私は抗議しました。
2点とも4月24日頃刊行
●著者紹介
舟橋聖一(ふなはし・せいいち)1904年 - 1976年。東京生まれ。旧制水戸高校を経て東京帝国大学文学部卒。代表作に『悉皆
屋康吉』『花の生涯』『絵島生島』『新・忠臣蔵』『ある女の遠景』『好きな女の胸飾り』『お市御寮人』など。芥川賞選考委員や横綱審議委員なども務めた。現在、彦根市に舟橋聖一文学賞がある。
銀河叢書 第1回配本