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ご購入に関するお問い合わせは、メールにて受け付けております。 メール:genki@genki-shobou.co.jp TEL03-5283-3934 幻戯書房刊行の書籍の詳細は小社ホームページをご覧ください。 幻戯書房 (げんきしょぼう)は 歌人で作家の辺見じゅんが、父であり、角川書店の創立者である角川源義の創業の精神を受け継ぎ、設立した出版社です。 ライフログ
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2015年 07月 06日
おかげさまで大好評をいただいている銀河叢書ですが、次回第3回は
島尾ミホ 海嘯(かいしょう) 石川達三 徴用日記その他 の2点(当初『徴用日記その他』を第4回予定としてきましたが、早めることになりました) 7月下旬刊行予定です。 ◆石川達三『徴用日記その他』 なぜ、今、石川達三なのか 本書収録の一篇をお読みいただければおわかりいただけるかと存じます。 著作権者のweb上での公開の許諾をいただきましたので、本書刊行を前に先行して公開いたします。 ※ 石川達三 「良すぎて困る」憲法 (初出:朝日新聞1962年5月2日) 憲法記念日がまたやって来た。ずいぶんあれこれと論議された憲法だが、私は立派な憲法だと思っている。外国の憲法は知らないけれども、こんなに立派な民主的憲法はどこの国にもないのではないかと想像する。私は、これほどの理想的憲法を創造したという点において、マッカーサーを尊敬する。国家の利害得失は世界事情の変化に伴っていろいろに変るものだから、時にはこの憲法では日本に都合の悪い場合も生じ得るだろう。しかしそうした一時的な利害を越えて、純粋に理論的に考えて、民主国家の理想像をこれほど明確に記した憲法は他にあるまいと私は思う。 改憲論を唱える人も少なくない。しかし私が理解する限りにおいては改憲論の根拠というのは、現行憲法が(良すぎて困る)から改定しようという意見のようである。つまり少しばかり改悪した方が都合がいいから、世界の実情や日本の実情に合うように改悪しようという考え方である。要するに、現状の悪いところは容易に改革できそうにもないから、憲法の方を曲げて行こうというのである。あるいはまた、あまりにも民主主義に徹していて、支配者が権力を振りまわすのに都合が悪いから、改悪しようという説のようである。 すでに少しずつ改悪された部分もある。第十五条には(公務員を選定し罷免することは国民固有の権利)だと書いてあるが、東京の区長は区議による選任制になっているし〔一九四七年に一度公選制となったものの、一九五二‐七四年は選任制〕、全国の教育委員も任命制になっている。しかし案外だれも気がついてはいない。つまり、本気で憲法を守ろうという気持をもった人は、国民のなかにもまことに少ないのだろうと私は思う。 現行憲法が良すぎて困るということは、私にも解る。しかし、だからといってこれを改悪することには賛成できない。やれないまでも、できるだけこの理想的憲法を実行しようと、われわれも為政者も、努力して行くのが当然だろうと思う。憲法は国家の理想だ。出来ないからと言って、理想を下げてはならない。 この憲法のなかで、読むたびに胸を打たれるような思いのする一句がある。それは第十二条だ。 (この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない) この一句は、法律というよりは勧告であり、忠告であり、深い祈りをこめて国民に期待している言葉である。これこそ、明治憲法のように、為政者が国民に与えた文章ではなくて、人民の立場に立って、人民の安全と幸福とを神に祈っているような言葉である。そして、私たちが安保条約改定に反対したのも、政防法制定に反対したのも〔政治的暴力行為防止法案。一九六二年五月廃案〕、この条文に記された(不断の努力によって)われわれの自由と権利とを保持しようとした行為ではなかったろうか。 憲法は、それがどんなに立派な、理想的なものであっても、憲法があるからと言って安心していてはならない。その憲法がいつ、どんな風に新解釈を下されたり、ゆがめられたり、改悪されたりするか解らない。為政者にとっては民主的憲法というものは、必ず邪魔くさい物であるに違いないのだ。そんなものは無い方が、政治をやるのには具合がいい。しかしそれでは人民の方はたまったものではない。だから、人民を、為政者の横暴から守ろうというのが民主憲法であるのだ。 現行憲法はしたがって、民衆のものであって政府のものではない。政府は何とかしてもっと楽な憲法に改定したがるのが当然であり、民衆は(それでは困る)と政府に抵抗するのが当然である。政府は独裁的な憲法をつくりたがるし、人民は民主的憲法をまもりたがるのが当りまえである。そこに政府と人民との力関係が生ずる。 為政者も、真に民主的な政治家であれば、民主主義憲法を懸命になって守るだろう。しかしまだ日本の政治家は、そこまで民主的に訓練されてはいないようだ。従って、その時が来るまでは、民衆の自覚と努力とによって、現在の理想的民主憲法を何とかして保持して行かなくてはならない。そこで期待されるのは、民衆ひとりひとりの理解と、自覚と、努力、ということになる。どんな立派な憲法も、それを支えて行くものは、われわれ民衆にほかならない。 ※ 朝日新聞・河原理子さんの新刊『戦争と検閲 石川達三を読み直す』が話題ですが、石川達三『徴用日記その他』は1942年前半、まさに太平洋戦争が始まったばかりの南方に海軍報道班員として従軍した記録を中心とした一冊。 まだ「楽勝ムード」だった時期、南部仏印に進駐した日本軍の日常とは――そのほか、ベストセラー社会派作家として活躍した戦中から戦後の発言を追うことで、一人の表現者が国家とどのように対峙してきたのかが浮び上ります。「表現の自由」が再び議論されている現在、驚くべき先見的洞察として、また名作『生きている兵隊』のサブテキストとしても格好の一冊。解説はご長男の石川旺さん。
by genkishobou
| 2015-07-06 19:35
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