セルバンテス没400年
ドン・キホーテは、迷える現代人を導くことができるのか?
樺山三英
ドン・キホーテの消息
四六判 272頁 本体予価2000円
ISBN978-4-86488-099-2 C0093
2016年5月25日頃刊行予定
現代に蘇った〈騎士〉と、その行方を追う〈探偵〉。平穏な世界がやがて暴動と災害、内戦の渦巻く混沌と化す中で、彼らの向かう先は――
人類と物語の未来を幻視する、21世紀型スペキュレイティヴ・フィクション。
期待の作家による4年ぶりの書き下ろし長篇。
◆本文より
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わからぬ奴だな。それもこれもみな含め、正気と狂気の境にあるのだ。(……)わしを狂人とあざ笑うものは、自分の生きる現実ばかりが、ほんとうのことと信じ切っておる。だが現実というものはそんなに単純なものではない。正気と狂気がせめぎ合う場所、それがこの世だ。
●著者紹介 樺山三英(かばやま・みつひで)
1977年東京都生まれ。学習院大学文学部卒業。2007年『ジャン=ジャックの自意識の場合』(徳間書店)で日本SF新人賞を受賞しデビュー。2010年、『ハムレット・シンドローム』(小学館ガガガ文庫)でセンス・オブ・ジェンダー賞・話題賞受賞。その他の著作に『ゴースト・オブ・ユートピア』(早川書房、2012年)。