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2016年 06月 10日
5月下旬の刊行以来、読者のみなさまにご好評いただいている『ドン・キホーテの消息』の著者、樺山三英さんにインタビューに答えていただきました。
Q1 今回、『ドン・キホーテ』をモチーフに書こうと思われたきっかけは何だったのでしょうか。 A1 以前『ハムレット・シンドローム』という作品を書いたときから、考えていたアイディアでした。よく知られていることですが、ヨーロッパ文芸のキャラクターには「ハムレット型」と「ドン・キホーテ」型の二種類があると言われています。思索的で優柔不断な前者に対して、直情的で猪突猛進な後者というわけですね。悩める王子というのは比較的描きやすいキャラクターですが、暴走する騎士というのはどう取り扱えばいいのか、いささか難しい課題です。それに挑んでみたのが本作です。 Q2 『ドン・キホーテ』という小説とキャラクターは、誰もが知っているものでありながら、長大なために読み通した読者がほとんどいない、という作品でもあります。一方で、「世界文学の最高傑作」「近代小説の偉大な起源」といった高い評価もあります。今回、そうした状況に対する思いや、あるいは書くにあたっての緊張はあったのでしょうか。 A2 気負いのようなものはあったかもしれません。というのはとくに日本の場合、『ドン・キホーテ』に対する理解はあまり深くなく、また広がってもいない印象があります。もちろん、キャラクターとしてのドン・キホーテは、それ自体で十分面白く興味深い存在であり、認知もされているでしょう。近年でも、大江健三郎の『憂い顔の童子』のようなユニークな作品があり、また殊能将之の『キマイラの新しい城』のような、すばらしい翻案がありました。しかし『ドン・キホーテ』の作品としての魅力は、そこに留まるものではありません。現実と虚構、人生と書物をめぐるじつに錯綜した関係を、物語のなかに位置づけている点にあります。こうした部分を取り沙汰した作品は意外に少なく、わずかに清水義範の『ドン・キホーテの末裔』が思い当るくらいでしょうか。やはり少々寂しい気がします。今年はセルバンテス没後400年に当たる年ですが、大きな盛り上がりがないようなのも残念です。こうした状況に、わずかでも変化をもたらせればという思いはあります。 Q3 デビュー作以来一貫して、古典的作品を題材にしつつ、「個人と集団」というテーマを追い続けられていますが、今作では暴動、内戦、発電所事故など、これまでよりかなり現代社会と重なるようなかたちで書かれています。そこにドン・キホーテを組み合わせた理由は何かあるのでしょうか。 A3 もちろん自分自身の関心の変化もあるのですが、むしろ『ドン・キホーテ』という作品自体が要請した部分が大きかったように思います。ハムレットの狂気は、演じているのか/狂っているのかという煩悶を通じて、つねに自己自身に帰ってきますが、ドン・キホーテにはそういった回路がない。代わりに問題になるのが、彼の狂気と周囲の社会との軋轢・葛藤です。『ドン・キホーテ』の真の主役は、じつは狂える騎士その人ではなく、彼を取り巻く人びとの方なのかもしれません。サンチョ・パンサを筆頭に、じつに個性的な面々が次々登場してきます。セルバンテスはそこに当時の世相(虜囚の体験談、実在の山賊、贋作騒動、イスラム社会の諸相など)を反映させることで、同時代の一大パノラマを描き出したわけです。本作が目指したのも、そうした方向性です。 Q4 樺山さんは日本SF新人賞でデビューされましたが、ジャンルにとらわれない自由な作風だと感じます。今回、初めてハードボイルド探偵小説の形式も採用されていますが、既存のミステリー作品については特に意識されていたのでしょうか。 A4 ハードボイルドの書法を採用するのは必然でした。孤独な探偵が都市をさ迷いながら事件の真相を追う――このフォーマットは、古代叙事詩から中世騎士道物語をへて現代に至る、冒険物語のもっとも基本的なパターンを踏襲しています。探偵物語は騎士道物語の末裔なのです。じっさい、フィリップ・マーロウは「卑しい街を行く騎士」と呼ばれていた。安部公房の『燃え尽きた地図』、村上春樹の『羊をめぐる冒険』、トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』、ポール・オースターの『シティ・オブ・グラス』なども、こうした文脈を引き継ぎ、現代の聖杯探究譚として書かれた作品だったと思います。ただ肝心なことは、こうした探偵像自体がすでに時代遅れになってきているということです。近年のミステリー作品には、こうした一匹狼型の探偵は少ない。むしろ警察小説のようなかたちで、個人と組織のせめぎ合いを描いたものに見るべきものが多いように思えます。だから本作も、ハードボイルドの形式に則りながら、群衆に飲み込まれた探偵が、いかに自らの本分を全うすることができるか(あるいはできないか)を問題にしている。言うまでもなく、探偵と群衆という対比はエドガー・ポー以来、探偵小説の核心に位置してきたテーゼです。だからこれは、ミステリーそのものの起源にかかわる問題でもある。また、すでに古びた物語形式を持ち出すことで逆説的に現代を描く、という手法はセルバンテスが『ドン・キホーテ』で試みたことそのものでもあります。本作がハードボイルドとして書かれているのは、このような事情からです。 Q5 最後に、これから『ドン・キホーテの消息』を読まれる方にメッセージをお願いします。 A5 近代小説の起源である『ドン・キホーテ』は、同時に近代という時代の随伴者でもありました。書物を読み、考え、自らの意志と行動を決定する近代的人間像は、この小説とともに培われてきたと言っていい。しかし近年、書物の意味と価値は変貌し、コンピューターとそれが構築する広大なネットワークに取って代わられようとしています。そんな時代だからこそ、改めて『ドン・キホーテ』の意味を考える必要があるのではないでしょうか。拙著がそのきっかけになったら、それに勝る喜びはありません。『ドン・キホーテ』未読の方でも、読んでいただけるよう工夫してあります。本作を入口にして、原作に挑んでいただくのもよいのではないかと。そんなわけで、ぜひご一読いただけたらと思います。 ◆試し読みを用意しています。 本文冒頭の20ページを試読していただけます。 【pdf版】 【epub版】 の2種類があります。 ◆著者サイン本・予約特典付を用意いたします。 著者直筆サイン本【限定30冊・お一人様1冊限定・先着順】 予約特典:本作品のラスト6ページの没となった最終稿前の案(B5サイズ3枚)。 ご希望の方は、eメールで幻戯書房:genki@genki-shobou.co.jpに直接お申込みください。 まだ、余裕がございます。税込2160円とともに送料300円の計2460円です。 ◆ドン・キホーテの消息のFacebookを開設いたしました。本書の情報を随時発信してまいります。
by genkishobou
| 2016-06-10 13:00
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