島尾敏雄生誕100年! 2017年4月に
島尾敏雄
琉球文学論
を刊行いたします。
南島とヤマトを同列に日本列島の文化に位置づけた講義録
ISBN978-4-86488-121-0 C0091 ¥3200E 四六判上製 256頁
2017年4月下旬刊
「沖縄へ寄せる並々ならぬ思いと二十年に及ぶ南島生活の中で、島尾敏雄が受容した南島を引き出して本にしないのは勿体ない」(
吉本隆明)
その懇望を受け1977年に準備された、多摩美術大学での講義録。島尾が思いを寄せた琉球弧の歴史を背景に、古謡、オモロ、組踊などのテクストをわかりやすく読み解く。完成直前に封印されていたその記録を、生誕100年の今、初めて刊行。琉球文化圏の入門・案内書としても貴重な一冊。
◆目次
第一章 なぜ、琉球文学か――その背景の琉球弧について
琉球文学とは何か/『歴代宝案』に見る琉球王国の海外貿易/奄美と沖縄/琉球弧の視点
第二章 琉球語について
琉球弧の範囲/琉球語と日本語/琉球語の四区分
第三章 琉球文学の歌謡性
歌謡と口承/呪詞的古謡/オモロ、琉歌、組踊
第四章 歌謡と古謡の区分
南島歌謡の地域的区分/オモリ/ミセセル/ユングドゥ/ニーリ
第五章 琉球弧の歴史
日本の歴史的転換期における東北と琉球弧/琉球の源為朝伝説/琉球研究者の歴史/三山対立と中山王国の中央集権
第六章 オモロ
オモロの成立/ウムイからオモロへ/表記法の問題/節と繰り返し記号/太陽と王のオモロ
第七章 琉 歌
八・六と七・五/恩納ナベと吉屋思鶴/面影の歌
第八章 琉球の劇文学
記載文学としての劇文学/執心鐘入/上平川蛇踊り
注 釈
琉球国王王統一覧
関連年表
編集者からの書簡――高橋徹
『琉球文学論』について――高橋徹
講義する島尾敏雄――末次智
◆本文より
琉球弧ではシマとヤマトをはっきり区別しているし、それだけの背景と実体があります。日本の歴史が南島を欠落したかたちで成立してきたことに疑問を持ったように、この南島の琉球方言で書かれた文学もいわば日本列島語による表現ではないのか。それを放っておいていいだろうかという疑問を抱いたわけです。そして私は琉球文学をぽつぽつ読みはじめることに取りかかったのです。
◆著者略歴
(しまお・としお)1917年4月18日、横浜生まれ。44年10月、第十八震洋特攻隊隊長として奄美群島加計呂麻島で着任。55年より奄美大島名瀬市に移住。57年、鹿児島県職員となって県立図書館奄美分館に勤務。75年、指宿市へ転居し、鹿児島純心女子短期大学教授兼図書館長に就任。奥野健男の要請を受け、76年~83年、多摩美術大学で集中講義を行なう。86年11月12日、脳梗塞により死去。代表作に『死の棘』『日の移ろい』『魚雷艇学生』などがある。