火の後に
片山廣子翻訳集成
ISBN978-4-86488-134-0 C0098
森鴎外、上田敏、芥川龍之介が激賞した伝説の才人 「鴎」は正字
翻訳という必然
イエーツ、ダンセイニ、ロレンスらの短篇
上田敏が激賞したグレゴリー夫人、タゴールの詩
大正期に文芸作品として好まれた戯曲
アメリカ探偵小説
その広範な訳業を網羅
解説:井村君江
■本文より
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死ぬといふことは悪い事ではない、人間が多すぎるのだから。生きてゐることも悪い事ではない、生きてゐることをたのしんでゐれば。
(『燈火節』)
片山廣子(かたやま・ひろこ 明治11[1878]ー昭和32[1957])
外交官・吉田二郎の長女として麻布に生まれ、東洋英和女学校予科・本科・高等科を通じて洋式の寮生活を送りながら英語教育を受ける。同校卒業後、佐佐木信綱の門下となり、以後会誌「心の花」に歌、随筆などを発表。鈴木大拙夫人ベアトリスの勧めでアイルランド文学に親しみ、大正二年から翻訳には筆名「
松村みね子」を用いる。その訳文は坪内逍遥、森鴎外、上田敏、菊池寛らの激賞を得た。十四歳年少の芥川に慕われたことでも知られ、堀辰雄の小説『聖家族』『楡の家』のモデルとされる。歌集に『翡翠』(大正5年)『野に住みて』(昭和29年)。随筆集『燈火節』(昭和28年)でエッセイスト・クラブ賞受賞した。