ナショナリズムの昭和ISBN978-4-86488-100-5 C0095 720頁 定価(4200円+税)で、
保阪正康さんが
第30回和辻哲郎文化賞(一般部門)授賞されることが、2月5日に発表されました。
「ナショナリズム」の意味を、左翼的偏見や右翼的独善から解放する試み。
かつての軍事主導体制の思想なき国策を浮き彫りにし、そして後世に受け継ぐべき「ナショナリズム」を提示する。●本書のキーワード
● 天皇制 マッカーサー GHQ 吉田茂 二・二六事件 新統制派 「近代の超克」 60年安保 三島由紀夫 田中角栄 オウム真理教 9・11 安倍晋三
※本書は、「諸君!」連載分43章分を大幅に修正、加筆したうえに、新たに書き下ろし分17章を加えた、
著者渾身の「昭和史」研究の集大成です。
●本書の主な内容
●序章 集団の記憶と一人の記録
1 敗戦―講和
玉音放送/二の次の「人間宣言」/全国巡幸の開始/〈天皇制下の民主主義〉と〈民主主義下の天皇制〉/昭和天皇の立脚点/吉田茂とGHQの関係/「戦後民主主義」の表象/講和条約発効時の「おことば」/開かれた皇室
2 昭和前期/二・二六事件
昭和十五年の位相/「一体化」を促した『国体の本義』/共産党幹部の転向声明の逆説/「昭和維新」と陸軍パンフレット/農民=独立企業体という視点/二・二六事件の三つの位相/磯部浅一の獄中の手記/村中孝次の「大義」/擬似的な農村共同体/ナショナリズムの死/軍国歌謡による「情念的支配」/かるたが伝承する生活の規範
3 新統制派/太平洋戦争
橋本欣五郎の『第二の開闢』/八紘一宇の顕現/利用された郷土愛/「戦陣訓」の根幹/『皇軍史』の独善/「陸海軍人ニ下サレシ勅諭」の空洞化/「近代の超克」の波紋/〈多様な国民〉と〈一様な兵士〉/アッツ島玉砕における四つの事実/本土決戦という亡国の盲信/戦時下伏せられた二つの地震
4 戦後―現在
朝日新聞の戦後八月十五日付社説/六〇年安保と敗戦以前の共通項/三島由紀夫の「意識上の鎖国」/田中角栄の「日本列島改造論」/オウム真理教の「現人神」に対する嗅覚/「9・11」と日本のテロリズム/政治家における昭和史の理解度/日本語の変節/「戦後」はいつ終わるのか
終章 私と「ナショナリズム」の出会い