柴田 翔岬四六判上製/192頁/2018年9月下旬刊行予定
ISBN978-4-86488-155-5 C0093 ¥2200E
人間存在の苦悩を、物語で描く、日本語小説の醍醐味。岬の上に住む一家の物語ほか書き下ろしを含む中・短篇集。Everything comes to those who wait.
待つことを知る者には、全てが与えられる――
戦時下の小学生。東京五輪間近、ドイツ留学に躊躇する研究者。岬の上に住む一家。自然のままに生きた弟。円熟深まりゆく柴田文学の描く、20世紀を生きた人々の物語。話題を呼んだ長篇『地蔵千年、花百年』に続く、半世紀の時を経て書き継がれた中・短篇集。
【収録作
】師の恩[1969]※既刊『燕のいる風景』収録作改題・改稿 ※
幻戯書房noteサイトで試し読みができます。夏の光[1969]
時・光・変・容[書き下ろし]
岬[2012]
読み違い[2013]
【「あとがき」より
】数年前、大学同期の文芸評論家・松本道介が、自分たちの同人誌に、何かエッセイでも書かないかと声を掛けてくれたとき、敗戦後まだ日の浅い頃、自宅の何処かに転がっていた、旧軍用のいかつい双眼鏡とその革ケースが心に浮かんだ。始めは短いエッセイの題材に見えたその双眼鏡と革ケースだったが、思い掛けなく、そこから久し振りの小説「岬」が生まれた。……今回、新しく書いて、この本の凡そ半ばに置いた「時・光・変・容」の掌編四つが、凡そ半世紀を隔てて書かれた前半の二作と後半の二作を、分け、かつ結ぶ、架け橋になってくれることを願っている。関係の人々と星々のよき巡り合せに感謝したい。
【著者略歴】(しばた・しょう)1935年、東京生まれ。東京大学大学院独文科修士課程修了後、ドイツ留学。同大学助教授、教授、文学部長を歴任。1995年退官し、名誉教授。1964年『されどわれらが日々―』で芥川賞受賞。その他の著作に『われら戦友たち』『地蔵千年、花百年』、翻訳にゲーテ『ファウスト』などがある。