2019年4月下旬に
島尾ミホ
祭り裏
を刊行します。
ISBN978-4-86488-169-2
C0093 ¥3200E
四六判上製 320頁
「祭りの広場からは八月踊りの太鼓の音と歌声が、此の事の行われていた間じゅう高く低くずっと聞こえていました」――端正な日本語散文と南島の言葉(琉球方言)で織り成した、島の「夜」にうごめく物語世界。著者最高傑作として絶讃を得つつも長らく入手困難だった中短篇小説集を、新資料を加え復刊。
島尾ミホ生誕100年記念企画
旧版(中央公論社・1987年)刊行時
石牟礼道子さんは、本書を
「『海辺の生と死』が出たとき、敏雄氏のヤポネシア発想の内なる島はやはりここだったのかと、瞼がふるえてひらく思いをした。なによりそこは、わたしの中の不知火海の島々に近かった」
「視力が足りなくてめったに本を読まないが、『祭り裏』は待ちかねた思いだった。カタカナで書かれた島の方言を幾度も声にだして読んでみる。古語のひびきが、細部にわたって、詩行として構成されているのがよくわかる。」
と評しています。
【収録作】
祭り裏
老人と兆
潮鳴り
あらがい
家翳り
潮の満ち干
柴挿祭り
[資料]
わが著書を語る――『海辺の生と死』
書評(石牟礼道子)
解説(樋口良澄)
【略歴】(しまお・みほ)1919年10月24日、鹿児島県大島郡瀬戸内町加計呂麻島生まれ。加計呂麻島の国民学校に代用教員として在職していた戦時中、海軍震洋特別攻撃隊の隊長として駐屯した作家の島尾敏雄と出会う。敗戦後の46年、結婚。75年『海辺の生と死』で南日本文学賞、田村俊子賞を受賞。07年3月25日、脳内出血のため奄美市の自宅で死去。他の著作に『愛の棘』『海嘯』(小社刊)。