小社の刊行物をご購読いただきありがとうございます。
日本のほとんどの出版社は、読者の方々への販売を取次会社(卸売会社)と書店(従来の売り場をお持ちの書店、インターネット書店あわせて)に、販売面で助けられています。ほとんどの読者のみなさまは書店で小社の本をお求めいただいているものと存じます。昨今、出版物全体の販売が落ち込むなか、書店の経営も厳しくなり、小社の本を店頭においていただける書店も限られております。すべての書店に小社の本が配本されることはむずかしいのが現状です。しかし、手にとってお求めいただく機会を小社としては維持していただきたいと思っております。ただのコンテンツとしてだけでなく、手にしていただいた時の手ざわり、装幀も、書店店頭で、ご覧いただきたいと思っております。
そうしたことから、小社としては、出版流通に携わる方々への利益を確保していただきたく、小社よりの出荷掛率を低くすることを考えております。大量部数の販売が見込めるものではない小社の本ですから、ほんとうに微力ではありますが、また、小社にとっては売上減となることから、苦渋の決断ではありますが、書店・取次・出版社が共存、共栄していくことに寄与したく、以下の表明を行いました。
読者のみなさまへは、小社の出版活動への更なるご高配をいただきたく、お願い申し上げます。
【プレスリリース】出版流通健全化に向けて、出荷正味見直しについて
取次会社、書店のみなさまには、小社の書籍を読者の方々にお届けいただき、感謝しております。
小社では少部数で高定価の書籍が多く、新刊は書店様から事前注文に基づいて、取次会社に配本していただいており、取次の見計らいの配本は多くありません。しかしながら、配本後すぐの返品も増え、返品額も増えています。また、一部の取次は、月一度の締日を考慮することなくムラのある返品となり、小社の資金計画に支障を来しています。こうしたことから、出版流通に携わる方々も厳しい状況にあると拝察しております。
業界をあげて、先人が築いてきた出版流通の仕組みが疲弊していることに対して、表立って改善策の提案が上がっていません。小社としては、読者の方々に届けていただくためにも、取次会社・書店が機能していただくなくてはなりません。そのために、小社としては
出荷正味を原則60%
といたします(但し、お取引先からのお申し入れをいただき、詳細は別途相談させていただきます)。
小社にとって、条件が悪くなることは、避けたいところではありますが、率直な取次会社からの申し入れがあれば、取引条件の変更のお話し合いに応じたいと考えております。取次と書店のお取引に口を挟む立場ではありませんが、小社の正味引き下げが、書店様への卸正味にも反映されることを願うものです。また、高正味出版社の尻ぬぐいを低正味出版社がしているという不公平が是正されることを希望いたします。
小社の書籍を、直でお取り扱いを希望の書店様からのお声がけもお待ちしております。
書店様には、読者の方へ、積極的に小社の本をお勧めいただき、ただの展示品ではなく、商品として、小社刊行書をお取扱いいただけますようお願いいたします。
このような申し入れは、小社の販売額からすると微力ではありますが、小社としても死活問題である出版流通の疲弊に、一石を投じたく、小社の意向を表明いたします。
2019年4月2日
株式会社 幻戯書房
代表取締役 田尻 勉