〈ルリユール叢書〉第1回配本
ミゲル・デ・ウナムーノ 富田広樹=訳
アベル・サンチェス予価:本体価格3000円+税
予定ページ数:260頁前後
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-171-5 C0397 ¥3000E
刊行予定:2019年6月下旬
永遠に憎悪するために、永遠に生きるのだと考えて私は戦慄した。それは地獄であった。
20世紀スペインを代表する情熱の哲学者が
現代に甦らせたカインとアベルの物語。
魂の闇の臨床記録。本邦初訳。
作者自身によって陰鬱な作品の烙印を押されているとしても、『アベル・サンチェス』に膠着した読みしか許されないとすれば、自律性を有するテクストに対する批評の価値は甚だ減じることになる。それよりも有意義なのは果敢に読み直しを挑みかけ、より豊饒な解釈へと道をひらくことだろう。それこそが今ウナムーノを読むということにほかならないし、作品に永遠の生を与えることになるのだ。――「訳者解題」より
【著者略歴】
ミゲル・デ・ウナムーノ(Miguel de Unamuno 1864-1936)
バスク地方ビルバオ生まれのスペインの思想家、作家。1898年の米西戦争以後のスペインを憂慮する〈98年世代〉の書き手の一人として、『生の悲劇的感情』に代表される哲学書のほか、ユニークな評論や小説、戯曲、詩作品を数多く著した。思想家オルテガ・イ・ガセーらが高弟として名を連ねるなど、現代スペイン思想に大きな足跡を残した。
【訳者紹介】
富田広樹(とみた・ひろき)
1978年、北海道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。学術博士。現在北九州市立大学文学部准教授。専門は18世紀スペイン文学。訳書にホセ・デ・カダルソ『モロッコ人の手紙/鬱夜』(現代企画室、2017)、著書に『エフィメラル』(近刊)がある。