幻戯書房では現在、作家・谷丹三の著作権継承者を探しています。
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坂口安吾は言った。
――小説に於ては、書くべき「ことがら」を選びだしたところの作者の眼に先づ第一の値打がある。単なる文章は二の次である。そこで谷の高い精神を濾過し、勝れた眼によつて描き出された此の一見平凡な風景を見ていただきたい。底に光りかがやく宝石の冷めたいものを感ぜずにゐられない。(「谷丹三の静かな小説」)
「底に光りかがやく宝石の冷めたいもの」
と親友の坂口安吾が絶賛し、また、
「不吉の暗い星を負わされてこの世に現われた」
と埴谷雄高が評している、
幻の作家・谷丹三(1909~1979)。
蟻の眼を以て、ある男が逆境に挑むさまを描いた異色作「脱出未遂」(1958)など、
その白昼夢の如き作品群を、21世紀の現在に甦らせる初の小説集の企画を、幻戯書房では準備しております。
ただ、著作権継承者が不明で、先へ進めることができておりません。
また、収録作品はすべて、故・種村季弘氏に師事した齋藤靖朗氏の渉猟に依るものですが、坂口安吾が、昭和9年(1934)の「三田文学」3月号で、なかでも傑作と称した、同人誌「焦点」発表の「心暖き夕」「笑ひ声」を、未だ入手できておりません。
谷丹三の著作権継承者、また戦前の同人誌「焦点」に谷丹三が発表した「心暖き夕」「笑ひ声」について、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報をお寄せいただきたく思っております。
どうかよろしくお願いいたします。
(2019年11月28日)
――幻戯書房編集部
【谷丹三略歴】
明治42年(1909)1月19日、東京市に生まれる( 『少年時代のヒットラー』)。
昭和4年(1929)、東京帝国大学文学部仏蘭西文学科入学(官報 1929年5月11日 )。
昭和7年(1932)、卒業(官報 1932年5月6日 )。
昭和15年(1940)10月、図書出版科学主義工業社へ入社( 『少年時代のヒットラー』)。
昭和16年(1941)11月、外務省嘱託となる( 『少年時代のヒットラー』)。
昭和54年(1979)9月7日、脳腫瘍で死去(埴谷雄高 「谷丹三のこと」 「海」1980.1)。
【著作リスト】
『少年時代のヒットラー』東亜書院 1943.5.20
『宿敵アメリカ――青少年外交読本』日本外交年鑑社 1944.3
『L'existentialisme est un humanisme 実存主義はヒューマニズムである』Jean Paul Sartre/谷丹三、古賀照一(訳?) 大学書林 1966
『3億円事件批判』自費出版 1974.11.14
【連絡先】
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