平素より小社の出版活動にご注目いただきありがとうございます。
昨年(2019年)4月2日に、幻戯書房は、出版流通が健全であってほしいとの思いから、申し出をいただいた取次には、出荷正味を引き下げ、書店とは直での取引にも応じるということを表明しました。出版流通の健全化に向けて
1年がたったところで、状況を説明すべきと考えておりましたが、感染症禍となり、経過報告が見合わせておりました。
一般の読者の方には、直接的には関係のないことですが、読者の皆様に出版物を届けるしくみが、崩壊しかねないという思いからの発言です。
昨年4月以降、小社と取引のある取次5社から、お申し出をいただき、4社とは新たな条件でお取引が始まっております。1社のみ、具体化に向けての打合せの連絡がないままになっております。小社の取引量が小さく、取次と書店の取引が統一正味がなされていることから、小社1社では、大海に礫を投げるごとくということと判断されたものと思っております。とはいえ、取次、書店がたちゆかななくなっていることは、変わりありません。そこに一石を投じたいという表明には、賛同いただけると思っていたにもかかわらず、1社が、実利がなく、作業量が一時的に増えることを厭うているのかわかりませんが、また、大型店の閉店が続き、小社が正味を下げると実質的に部安入帖となることを嫌っているのか、その後、連絡をいただけておりません。
小社としては、各取次と、新条件での取引が開始されるのを待って、出版流通に携わる人たちが、危機感を共有し、改善に向けての動きとなるべく、新たに、意思表示をしたいと思っておりました。しかし、力不足を感じているところです。
ということで、小社の正味引き下げへのお話合いの期限を、2020年6月末とさせていただきます。
各社間の取引条件はともかく、大規模書店の大型店の連続した閉店に伴う返品が、あいにくのこの時期に重なったことは、出版社にとって経営的に大きな痛手であり、このことに対して、当の書店や取次からの配慮があってしかるべきではなかったのだろうかと感じております。
新型コロナウイルスの感染が収束の方向に向かっている現在、ここで声をあげておきます。
2020年5月29日
幻戯書房 田尻 勉