クリスチャン・ドゥメ三つの庵 ソロー、パティニール、芭蕉小川美登里・鳥山定嗣・鈴木和彦=訳
四六判並製・232ページ
予価:2900円
ISBN978-4-86488-211-8 C1098
刊行予定:2020年11月下旬
みずからの住まい、佇まいの中心に
文学という名の宇宙が存在する
H・D・ソロー、パティニール、芭蕉――
孤高なるユートピアンの芸術家たちがこしらえた
「庵」の神秘をめぐる随想の書。
世界中のすべての隠遁者におくる《仮住まいの哲学》、
孤独な散歩者のための《風景》のレッスン。
●本文抜粋
●ソロー『ウオールデン 森の生活』について
ウォールデンの小屋は働かない者の住まいでもなければ、働き者の住まいでもない。
13、14世紀フランドル派の画家、パディニールについて
パティニールは空の青を、彼の小屋を見せてくれた。物ではなく、深く穿たれたヴィジョンを。万物の隠れ棲むさまを。
芭蕉について
「たしかに芭蕉は「地の果て」に憧れてはいたものの、彼が旅から学んだのは、どんな境界であれ、結局は私たちが今いる場所を通過するという事実だった。その教えは絶対である。だから、旅路の果てに行き着くには、仮小屋を作るだけで十分なのだ。
●著者略歴
●クリスチャン・ドゥメ(Christian Doumet 1953– )
1953年、フランス中央部のマコン市に生まれる。パリ高等師範学校を卒業後(文学博士)、グルノーブル大学とパリ第八大学で教鞭をとった後、2015年以降パリ・ソルボンヌ大学教授。またフランス大学学士院のシニアメンバーや国際哲学コレージュのプログラム・ディレクターを務め、客員教授として米国や日本に滞在した。専門はヴィクトル・セガレンであり、3冊の著書・共著に加え、プレイヤッド版『セガレン著作集』(近刊)を監修する。学術的な仕事の傍ら、1987年から現在に至るまで文筆活動を精力的に行ない、すでに30冊以上におよぶ作品を発表している。近代文学および音楽美学に関する評論・エッセーのほか、小説や詩も手がけるなど作品は多岐にわたり、文学、芸術、哲学を自由に横断するその作風は既存のジャンル規定を覆すと評される。
●訳者略歴
●小川美登里(おがわ・みどり)
1967年、岐阜県生まれ。カーン大学にて博士号取得。現在、筑波大学人文社会系准教授。専門は現代フランス文学(関心領域は、ジェンダー、音楽、絵画、文学など)。著書に、La Musique dans l'oeuvre littéraire de Marguerite Duras(L'Harmattan, 2002)、Voix, musique, altérité: Duras, Quignard, Butor (L'Harmattan, 2010)、訳書にパスカル・キニャール『落馬する人々』『いにしえの光――最後の王国〈2〉』『謎――キニャール物語集』『秘められた生』(いずれも水声社)など。
鳥山定嗣(とりやま・ていじ)
1981年、愛知県生まれ。京都大学にて博士号取得。現在、名古屋大学准教授。専門はポール・ヴァレリー。著書に『ヴァレリーの『旧詩帖』――初期詩篇の改変から詩的自伝へ』、共編著に『愛のディスクール――ヴァレリー「恋愛書簡」の詩学』、共著に『ヴァレリーにおける詩と芸術』(いずれも水声社)など。
鈴木和彦(すずき・かずひこ)
1986年、静岡県生まれ。パリ・ナンテール大学にて博士号取得。現在、明治学院大学専任講師。訳書にクリスチャン・ドゥメ『日本のうしろ姿』(水声社)、ミシェル・ドゥギー『ピエタ ボードレール』(未來社)、ジェラール・マセ『オーダーメイドの幻想』(水声社)など。