
装幀は小沼宏之さん

〈ルリユール叢書〉第14回配本 その1(20冊目)
イェンス・ピータ・ヤコブセン
奥山裕介=訳ニルス・リューネ予価:本体価格3,600円+税
予定ページ数:360頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-220-0 C0397
刊行予定:2021年5月下旬
退屈な生のいつ終わるともない寂寞(せきばく)のなか、空想が光輝の花を振り撒(ま)いた。夢みるような気分が胸内にただよい、生気あふれる芳香で心を誘い、蝕んだ。香りには、生気に渇えた胸さわぎの甘やかな毒が潜んでいた。
生の豊穣と頽落、夢想の萌芽、成熟から破綻までを絢爛なアラベスクとして描きだした、世紀末デカダンスに先駆ける〈幻滅小説〉。リルケ、トーマス・マン、ヘッセ、ツヴァイク、ホーフマンスタール、ムージル、ジョイス、ルルフォを魅了した19世紀デンマーク文学の傑作長編。【著者略歴
】イェンス・ピータ・ヤコブセン(Jens Peter Jacobsen 1847–85)
デンマークの詩人。北部ユラン地方リムフィヨルド沿岸の町ティステズに生まれる。コペンハーゲン大学で植物学を専攻、ダーウィンの主著を翻訳し、自然主義文学に接触。肺病を患い38歳で夭折するまで、郷里と旅先で病軀を養いながら創作に従事。長編『マリーイ・グルベ夫人』『ニルス・リューネ』のほか、短編六作と抒情詩を生涯のうちに残す。無神論的な自然観と彫琢を極めた造形的言語で異類の位置を築き、国内外のモダニズム芸術に広範な影響を及ぼした。
【訳者紹介
】
奥山裕介(おくやま・ゆうすけ)
1983年、大阪府生まれ。大阪大学大学院言語社会研究科博士前期課程を経て、日本学術振興会特別研究員に採用。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。デンマークを中心に北欧文学を研究。訳書にM・W・スワーンベリ『Åren』(LIBRAIRIE6)がある。