邦枝完二 著
小村雪岱 画
真田幸治 編
おせん 東京朝日新聞夕刊連載版ISBN978-4-86488-235-4 C0093
2021年
10月末刊11月刊12月下旬刊
刊行が遅れること、ご予約いただいた方、お詫び申し上げます。もうしばらくお待ちください。挿絵59点+カット8点完全復刻

昭和8年の息吹きが、88年の時を経て、新漢字・新仮名遣いでよみがえる――。
邦枝の「江戸」を絵で昇華させた〈雪岱調〉の完成形。
「朝日へ書いた『おせん』の挿絵の如き特に雪岱氏の代表作ともいふべきもの」(邦枝完二)
昭和8年(1933)に「東京朝日新聞」および「大阪朝日新聞」で59回にわたり連載された小説『おせん』。
著者・邦枝完二(1892─1956)と挿絵画家・小村雪岱(1887─1940)の才能の結晶。
『小村雪岱随筆集』『小村雪岱挿絵集』につづく、その仕事の軌跡。
「邦枝君のみ中年に至って、精力毫【ごう】も昔日に異らず、思想才芸今やまさに円熟大成の境地に到らんとす。其近業にして今汎【あまね】く世に迎えらるるものは、専【もつぱら】江戸市井の風俗生活を描写せし小説なり。即【すなわち】東洲斎写楽、喜多川歌麿、八代目團十郎、笠森おせん等【とう】の事績を資料となせし長篇の諸作なり」
―昭和八年臘月中旬 永井荷風
「朝日新聞学芸部の侠気にて、挿絵の原版一枚残らず貸与せられし喜びは、また譬【たと】えんに言葉梨の木柳の木、土へ長々手をついて御礼申す昭和の戯作者、それにつけても春信好みの丹青【たんせい】に当時艶麗【えんれい】ならびなき、雪岱画伯が腕の冴えは心憎くも有難く、斧定九郎【おのさだ く ろう】が鉄砲ならぬ二つ弾、ここに重ねてぺこぺこと滅多に下げぬ高い頭【ず】を、下げて歓ぶ注連飾【しめかざり】」
―昭和八年師走吉日 又竹書屋にて 邦枝完二
邦枝完二(くにえだ かんじ)1892-1956。東京生まれ。永井荷風に私淑。『東洲斎写楽』(1928年)、『歌麿』(のち『歌麿をめぐる女達』に改題)『おせん』『お伝地獄』『浮名三味線』といった新聞小説を次々に発表し、江戸情緒豊かな世界を描く時代風俗小説家。
小村雪岱(こむら・せったい)1887-1940 埼玉県川越市生まれ。1914年、泉鏡花『日本橋』で装幀家デビュー。 以後、新聞・雑誌の挿絵を多く手掛け、邦枝完二と組んで新聞連載小説で挿絵画家としての地位を築く。広告や舞台美術でも活躍する。
真田幸治(さなだ・こうじ)1972- 神奈川県横浜市生まれ。装幀家。小村雪岱研究家。編著に『小村雪岱随筆集』『小村雪岱挿絵集』がある。