
装幀は小沼宏之さん

〈ルリユール叢書〉第26回配本 (36冊目)
ドロシー・L・セイヤーズ 大西寿明=訳
ストロング・ポイズン Strong Poison 定価:本体価格3,600円+税
予定ページ数:384頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-255-2 C0397
刊行予定:2022年9月下旬 若干遅れ発売日は10月上旬になります。
個人的な感情が調査に影響したことはこれまでにもあったが、それが彼の知性を曇らせたことはなかった。彼は手探りをしていた――自分のことをあざ笑いながらあちこち逃げていく可能性を摑むために。出鱈目に質問しては目的を見失い、かつては刺激的だった時間の足らなさはいまでは彼を怯えさせ、混乱させてもいた。アガサ・クリスティらと、1920~30年代の〈探偵小説の黄金期〉を牽引した女性作家ドロシー・L・セイヤーズ――探偵らしさと男らしさの狭間で存在の不安に揺れ動く男性探偵の危うさに焦点を当てた、〈ピーター・ウィムジィ卿〉シリーズの重要な転換期となる奇妙な探偵小説。
彼女は探偵小説に独創性、知性、エネルギー、そしてウィットをもたらした。──
P・D・ジェイムス私は彼女の小説に敬服するばかりだ……彼女の創造の豊饒さ、発明の才、細部への素晴らしい眼差しに。──
ルース・レンデル彼女は文学的な散文と力強いサスペンスを融合させたが、それを実現するには稀有な才能が必要不可欠である。彼女こそ真に偉大な作家なのだ。──
ミネット・ウォルターズ セイヤーズは最も優れた探偵小説家のひとりだ。──
E・C・ベントリー明らかに、彼女はオスカー・ワイルドのウィットと知恵の熱烈な崇拝者であり、ウエストエンドの風俗喜劇や緻密な推理を要する問題を偏愛し、スタイルと沸き立つ喜びをもってして小説を描く手法を熟知していた。──
ジョイス・キャロル・オーツ【著者略歴】ドロシー・L・セイヤーズ(Dorothy Leigh Sayers 1893–1957)
イギリスの小説家、劇作家、古典・現代言語学者、ディテクションクラブ第三代会長。オックスフォードに生まれる。オックスフォード大学サマーヴィル・コレッジにて現代言語学を学ぶ。長らく女性への学位授与を認めてこなかった同大学で学位を授与された女性の第一世代に属する。1922年から29年まで広告会社でコピーライターとして働く傍ら、Lord Peter Wimseyシリーズを執筆。アガサ・クリスティらと並び、探偵小説の黄金期を牽引する小説家の一人と目される。宗教劇の劇作家として、またダンテのThe Devine Comedyの訳者としても名を馳せた。
【訳者紹介】大西寿明(おおにし・としあき)
1983年、神奈川県生まれ。ロンドン大学大学院修士課程修了、立教大学大学院文学研究科英米文学専攻にて博士号(文学)取得。現在、神戸市外国語大学准教授。専門は戦間期イギリス文学。