

装幀は小沼宏之さん

ルリユール叢書 第27回配本 (37・38冊目)
ハーマン・メルヴィル 牧野有通=訳
ピェール 黙示録よりも深く 〈上・下〉 定価 本体価格各4000円+税
予定ページ数:〈上巻〉424頁〈下巻〉400頁
四六変形・ソフト上製
〈上巻〉ISBN978-4-86488-261-3 C0397
〈下巻〉ISBN978-4-86488-262-0 C0397
刊行予定:2022年11月下旬
半神たちが屑を踏みつけている。「美徳」と「悪徳」も屑なのだ! イザベル、ぼくはそういったことを書くつもりだ――そしてぼくは、この世界にあらためて新しい福音を説き、『黙示録』よりも深い神秘を示してやる!――そういうものをこそぼくは書く! いや書いてみせる!
理想と現実に引き裂かれる曖昧なる人間の愚かさを見つめ、キリスト教社会の欺瞞、西欧社会の偽善を炙り出す――『白鯨』の著者メルヴィルが世界の破滅絵図【ピクチュアレスク】として描いた大長編の問題作。全二十六の書のうち、上巻には、イザベル登場によりピェールの反逆の人生の火蓋が切られる〈第十二の書〉までを、下巻には、故郷からの旅立ち、作家への道と破天荒な人生行路が待ち受ける〈第十三の書〉以降をは収録。メルヴィル文学の中心は『ピェール』であり、メルヴィルを理解しようとするなら、他の全ての作品を理解する前にこの作品を理解せねばならない。
──E・L・ワトソン
「曖昧性」という迷宮に迷い込みながらも、人はどの道かを選ばなければならない存在なのだ。
──ウィン・ケリー
『ピェール』を書くにあたって、メルヴィルは、シェイクスピアの激励を受けつつ、以前のものよりはるかに「戦慄させるほどの真実」を語りだしたのだ。
──ヘンリー・A・マレイ
『ピェール』は、二十世紀的世界に対する真に怖るべき予告の書であると言わざるを得ない。
──寺田建比古
【著者略歴
】ハーマン・メルヴィル(Herman Melville 1819–91)
ニューヨーク生まれのアメリカの小説家・詩人。1832年父の事業破綻に続く、父の狂乱死を経験。以降十分な教育を受けることなく、商船体験や捕鯨船体験、軍艦体験を経て、世界の状況を観察。1844年帰国。その体験中、捕鯨船脱走ののち食人種「タイピー族」と暮らした経験を、1846年に『タイピー』として作品化して評判となり、作家として自立した。代表作『白鯨』(1851)は出版時、評価としては不調であった。また本作『ピェール』(1852)は重要な作品ながら厳しい評価を受けた。ほかに優れた短編集『ピアザ物語』(1856)、生前最後の小説『詐欺師』(1857)、長詩『クラレル』(1876)、遺作として『ビリーバッド』(1924年出版)などがある。
【訳者紹介
】牧野有通(まきの・ありみち)
1943年、北海道生まれ、東京大学文学部卒業。同大学大学院博士課程単位取得退学。アメリカ・アイオワ大学大学院修士課程修了。元明治大学文学部教授。日本メルヴィル学会会長、アメリカ・メルヴィル協会会長(2017年度)を歴任。メルヴィル、フォークナー関係研究