
装幀は小沼宏之さん

ルリユール叢書 第28回配本39冊目
ヴァレリー・ラルボー 西村靖敬=訳
聖ヒエロニュムスの加護のもとに
Sous l’inv_ocation de saint Jérôme定価:本体価格4,500円(税込4,950円)
予定ページ数:456頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-264-4 C0398
刊行予定:2022年12月下旬
ジョイス、ホイットマン、バトラーら英米文学から中南米文学、伊文学まで〈世界文学の仲介者〉として多言語の文芸を翻訳したコスモポリタン作家ヴァレリー・ラルボー──聖ヒエロニュムスの論考を筆頭に、500余名の文人をめぐり翻訳の理念、原理、技法がエッセイで説き明かされる翻訳論の白眉。本邦初訳。
大事なのは、私たちがこれらの言葉を計量する天秤だ。というのも、翻訳の全作業は言葉の計量だからだ。
片方の皿に原著者の単語を一つひとつ置き、もう一方の皿には、この原著者を翻訳する言語に属する不特定の数の単語を代わる代わる試しに置いてみる。そして、二つの皿が釣り合う瞬間を待ち受けることになるだろう。
(本文より)
【著者略歴】ヴァレリー・ラルボー(Valery Larbaud 1881–1952)
フランスの小説家・詩人・批評家・翻訳家。フランス中部ヴィシーに生まれる。幼年期より外国各地を旅した経験を基にした、コスモポリタンの青年バルナブースを主人公とする『裕福なアマチュアの詩』で作家デビュー。この作品を改作した『A・O・バルナブース全集』が代表作となる。少年少女の独自の内面を鮮やかに描き出す小説、「内的独白」を用いた心理小説を多く発表。創作活動に加え、該博な知識と豊かな語学力を駆使した国内外の作家や作品についての批評活動、ジョイス、バトラーの作品をはじめとした翻訳活動を精力的に行なった。
【訳者紹介】西村靖敬(にしむら・やすのり)
1952年、神戸市生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。千葉大学名誉教授。著書に、『1920年代パリの文学――「中心」と「周縁」のダイナミズム』(多賀出版、2001)、『文学の仲介者ヴァレリー・ラルボー――ラルボーとホイットマン、バトラー、ジョイス、ラテンアメリカの作家たち』(大学教育出版、2017)などがある。