

表表紙(表1:左)は小村雪岱、裏表紙(表4:右)は小村雪岱)
邦枝完二 著
小村雪岱 画
江戸役者 東京日日新聞夕刊連載版 真田幸治 編
四六判上製 288P
ISBN978-4-86488-282-8 C0093
本体予価3,600円
8月下旬刊予定9月下旬刊予定「河原者たア誰を指した。江戸随一の團十郎だ。てめえの眼は節穴だな。」
邦枝がいざない、雪岱が開眼した江戸風情の世界。
八代目市川團十郎を軸に描く人間模様。
『おせん』に先立つ一年前の、記念碑的作品。
単行本初収録の挿絵70点を完全復刻。
2022年、京都で、『江戸役者』の挿絵原画が全揃で見つかった。雪岱再評価の機運が高まるなか、91年の時を経て、雪岱と邦枝が初めてコンビを組んだその新聞連載小説が、新漢字・新仮名遣いでよみがえる――

「みんな手前への御贔屓が積り積って、ちっとでも余計に、成田屋を可愛がってやろうとの、有難い思し召しに相違ござんすまい。しかし團十郎は、どなた様お一人のものでもなく、この広い江戸においでなさる、皆様の團十郎でございます。」
(本文より)
邦枝完二くにえだ・かんじ 明治25年(1892)、東京市麴町区生まれ。慶應義塾予科に入学。永井荷風に私淑し、『三田文学』に小説などを発表した。時事新報社や帝国劇場文芸部を経て、作家として独立。新聞連載小説の「東洲斎写楽」(1928)、「歌麿」(1931)、「江戸役者」(1932)、「おせん」(1933)など、江戸情緒あるれる浮世絵的な作品で、作家としての地位を確立した。昭和31年(1956)歿
小村雪岱こむら・せったい 明治20年(1887) 埼玉県川越町生まれ。明治41年(1908)、東京美術学校日本画科選科卒業。大正三年(1914)、泉鏡花『日本橋』の装幀でデビューし、以後、装幀家や舞台装置家、挿絵画家として活躍する。特に邦枝完二とコンビを組んだ髷物、昭和8年(1933)の「おせん」を筆頭に、「江戸役者」(1932)や「お伝地獄」(1934-35)、「喧嘩鳶」(1938-39)など、〈雪岱調〉の新聞連載小説の挿絵は現在も高く評価されている。昭和15年(1940)年歿。
真田幸治さなだ・こうじ 昭和47年(1972)、神奈川県横浜市生まれ。平成8年(1996)、日本大学芸術学部美術学科卒業。装幀家。小村雪岱研究をライフワークとしている。雪岱や、雪岱が在籍していた資生堂意匠部、資生堂書体の論文を発表。編著に『小村雪岱随筆集』、『小村雪岱挿絵集』(いずれも幻戯書房、2018)。展覧会「複製芸術家 小村雪岱―装幀と挿絵に見る二つの精華」(日比谷図書文化館、2021)で監修を務める。