

〈ルリユール叢書〉第37回配本 (51冊目)
クロード・シモン 芳川泰久=訳
ガリバー予価:本体価格4,500円+税
予定ページ数:480頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-290-3 C0397
刊行予定:2023年12月下旬
『フランドルへの道』『ファルサロスの戦い』『農耕詩』など、前衛的、実験的小説作品を発表した〈ヌーヴォー・ロマン〉を代表する作家であり、ノーベル文学賞作家のクロード・シモン――シモン独自の書法で紡がれた、第二次大戦末期の、とある日曜日の出来事の〈居場所のなさ〉をめぐる初期の長編小説。本邦初訳。文学作品は創造され、それでも理解される。というのも、それが言葉にされたものとして、つまり作家の見るものから創造されるからであり、無からの創造ではないからだ。作家は言う。私は何も作り出していない。私は自分の見たものを語る。[…]クロード・シモンは言う。目に見えるものは無限であり、文学は無限である。――より倍率をあげれば、人は常に言うべきことを見つけることができる。人は常にじゅうぶん生きてきたから書けるのだ。それは、存在するもののコピーを意味するだろうか? 存在するものの重複を意味するだろうか? 作家にとっては、自分の語るものは自分が見たものである。――だが見られたものは多形(ポリモルフ)であり、無定形(アモルフ)である。見るとは思考することではない。見たものを書くとはじっさい、見たものを加工することだ。[…]さまざまな見えるもの(すなわちプルーストでいえば、現在と過去)において、あるいは見えるものと人びとに含まれるものにおいて、差異化というか同じ次元の起伏は同じ軸上にあって、同じ本質を分け持っている。というか、それらは相互に「比喩(メタファー)」になっていて、「隔たり」さえ提供している。世界とは見られたものによって、語られたものによって定義されるのではなく、見られないものによって、語られないものによって、正確にいえば、あるものと他のものとの差異によって定義される。この差異によって、作家は作家となるのだ。
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モーリス・メルロ゠ポンティ【著者略歴】クロード・シモン(Claude Simon 1913–2005)
1913年、マダガスカル生まれ。満1歳にならないうちに父を、11歳で母を亡くす。1925年、パリのスタニスラス校の寄宿生となり、バカロレア試験をはさんでイギリスで語学研修。パリで絵画を学ぶ。1936年、バルセロナに滞在しスペイン内戦を観察。全国労働者連合(CNT)と連絡を保ち、武器の購入と輸送に協力。1939年、竜騎兵連隊に召集され、捕虜となるも脱走。1945年、『ペテン師』を出版。『風』以降「新しい小説」を書く。代表作に『フランドルへの道』、『農耕詩』など。1985年、ノーベル文学賞を受賞。
【訳者紹介】芳川泰久(よしかわ・やすひさ)
1951年、埼玉県生まれ。早稲田大学名誉教授。著書に、『闘う小説家 バルザック』(せりか書房)、『謎とき『失われた時を求めて』』(新潮社)、『『ボヴァリー夫人』をごく私的に読む』、『バルザック×テクスト論 〈あら皮〉から読む『人間喜劇』』(以上、せりか書房)、『村上春樹とフィクショナルなもの――「地下鉄サリン事件」以降のメタファー物語論』(幻戯書房)ほか多数。訳書にクロード・シモン『農耕詩』(白水社)、バルザック『サラジーヌ 他三篇』『ゴプセック・毬打つ猫の店』(以上、岩波文庫)、フローベール『ボヴァリー夫人』(新潮文庫)ほか多数。
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