山口直孝大西巨人論
マルクス主義と芸術至上主義ISBN978-4-86488-293-4 C0095 ¥4500E
A5上製 予408頁
定価(本体4,500円+税) 4,950円(税込)
2024年下旬刊
革命の担い手「われわれ」が生まれるには、
独りでも行く「われ」が存在しなければならない
日常生活そのものが闘争の場であることを示した作家・大西巨人。
公正の実現を目指し、現実と芸術とを実践的に結びつけた文学者の、類を見ない創作の展開を追跡する。
並走者武井昭夫、湯地朝雄の仕事にも及ぶ、運動としての文学に迫る考察。
既成の権威や秩序を維持するために公平さが損なわれる事例は世にあふれている。そのような状況に直面しても、同調圧力を撥ね返して異議を唱えるのは難しい。また、不服従の姿勢を維持するのも簡単ではない。不利益を受けることを覚悟しながら態度表明を行い、実践を続けるには相当の熱量を必要とする。困難さを知りつつ、自己の責務として問題に積極的に介入することと、大西巨人は知識人の当為と見なしている
――「あとがき」より
著者略歴山口直孝(やまぐち ただよし)
1962年兵庫県生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程単位取得済退学。博士(文学)。現在、二松学舎大学文学部教授。専門は日本近代小説。著書に『「私」を語る小説の誕生-近松秋江・志賀直哉の出発期』(翰林書房)、編著書に『横溝正史研究』(戎光祥出版、既刊6冊)、『漢文脈の漱石』(翰林書房)、『講座近代日本と漢学 第六巻 漢学と近代文学』(戎光祥出版)などがある。大西巨人関連では、『大西巨人 抒情と革命』(河出書房新社)、『日本人論争 大西巨人回想』(左右社)の編集協力、『歴史の総合者として―大西巨人未刊行批評集成』(幻戯書房)の編集解説(石橋正孝、橋本あゆみとの共同作業)がある。