

〈ルリユール叢書〉第40回配本 (59冊目)
ロドルフ・テプフェール 加藤一輝=訳ジュネーヴ短編集 予価:本体価格4,500円+税
予定ページ数:504頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-308-5 C0397
刊行予定:2024年10月下旬
青年の何と元気なことか! いま描いたのは、本当にわたしなのか? 軽やかな足取りで湖岸を辿り、紺碧の波、サヴォワの瑞々しい水辺、エルマンスの古い館を愛情ぶかく眺め、空気と空間に生き生きとした感情を溢れさせるこの少年は、本当にわたしなのか?手書きの文字と線画を組み合わせ、コマ割マンガの創始者となったジュネーヴの作家ロドルフ・テプフェール――諧謔精神あふれる半自伝的小説「伯父の書斎」、アルプスの風土をスイスことばで描いた冒険譚「アンテルヌ峠」など珠玉の全8篇をテプフェール自身の挿絵つきで収録。本邦初訳。
わたしは著者であるジュネーヴのテプフェール氏と面識はなく、ただ作品を楽しく読ませてもらっただけですが、もし出版すれば、あなたも読者の方々もやはり楽しく読めるに違いありません。とくに、おどろおどろしい時代の惨劇から数年を経ても後味が消えず、笑いとともに温かい涙を零させてくれるような本を読んで落ち着きたいという読者の方々に、作品を勧めることができるでしょう。
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グザヴィエ・ド・メーストルスターンとグザヴィエ・ド・メーストルとベルナルダン・ド・サン゠ピエールが、じつに地方的な独特の味わいのうちに見事に溶けあった短かい傑作である。
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テオフィル・ゴーティエテプフェールは陽気だ。天性の魅力、翼を持った軽やかな能力、雲雀の精神を持っている、それはいつの時代どんな人間のところでも、くるくる回り、囀り、笑い、飛ぶのだが、老いて退屈したわれわれにあっては、誰もが最も切実に欲しているものだ。
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ジュール・バルベー・ドールヴィイ【著者略歴】ロドルフ・テプフェール(Rodolphe Töpffer 1799–1846)
フランス領ジュネーヴ(のちスイス連邦に加盟)生まれのフランス語圏作家。生涯ジュネーヴで暮らし、自身の設立した寄宿学校の校長を務め、ジュネーヴ・アカデミーで修辞学を講じたほか、アルプスの風土をフランス語圏スイスの文体で描いた多くの短編小説によって、最初期のスイス文学作家となった。また、生徒を楽しませるべく文章と線画を組み合わせて手書きした絵物語は、現在のコマ割マンガの始祖とされる。
【訳者紹介】加藤一輝(かとう・かずき)
1990年、東京都生まれ。翻訳家、水産大学校助教。ルリユール叢書(幻戯書房)からの訳書に、グザヴィエ・ド・メーストル『部屋をめぐる旅 他二篇』。翻訳サークルCato Triptyque からの訳書に、シャンフルーリ『猫』『諷刺画秘宝館』(共訳)、若月馥次郎『桜と絹の国』、キク・ヤマタ『八景』(共訳)など。