両吟集 爛柯別所真紀+佐久間鵠舟ISBN978-4-86488-311-5 C0092
定価(本体1,800円+税)
装幀は真田幸治さん
※ランカ【爛(柯】とは
両吟 集 爛柯〔述異記〕(斧(オノ)の柯(エ)が爛(クサ)る意。晋(シン)のきこり王質が、森の石室の中で童子らが打っている碁を見ているうちに、斧の柄が腐ってしまうほど時がたったという故事から)㊀囲碁に夢中になり、時間が過ぎるのを忘れること。㊁遊びにふけって時のたつのを忘れること。(新潮国語辞典 現代語・古語 初版)
コロナ禍にあって、複数での座が困難であったときに、二人で織りなした連句=両吟を集成。
「連句は連想がもたらす時空の変化、イメージの変遷を言葉で定着しようとする試みである。」
現代連句出版の到達点。
令和二年 コロナ・パンデミック
遠雷の街に潜める憂ひあり
朱夏の渚に寄する高波 令和五年 コロナほぼ終息
原色のラテン系ゆく冬の街
カオスを蹴ってブーツ闊歩す(まえがき より) 俳諧連句は、山本健吉がいみじくも名付けたように『座の文学』です。私は『座』を共生空間とも呼びますが、幾人かの連衆が一座して即座即興に付け合い、歌仙なら三十六行のうちに森羅万象を詠みこみ、紙の上に架空の乾坤を打ち建てる特殊な文芸形式。(私は芭蕉の謂う乾坤をミクロ・コスモスとも言い換えています。 (別所真紀)
(あとがき より) 詩人、俳諧誌「解䌫」主宰の別所真紀先生にお会いできた事になりました。そして、ただ、知識的に断片的かつ些少な知識しか持っていなかった俳諧(連句)について、生きた知識、経験、体系的な知識を得、実践する場を得ることができるようになりました。そして、実作なしに、この文藝、連句を理解できないことを理解しました。 (佐久間鵠舟)
真紀 まき(本名 別所真紀子)一九三四年、島根県生まれ。詩人・作家。著書は、別所真紀子名で、詩集に『しなやかな日常』『アケボノ象は雪を見たか』『ねむりのかたち』『すばらしい雨』、詩句集に『風曜日』、評論集に『芭蕉にひらかれた俳諧の女性史』『言葉を手にした市井の女たち』、俳諧評論『共生の文学』(長谷川如是閑賞論文を含む)、『江戸おんな歳時記』(小社刊、読売文学賞)など。小説に、『雪はことしも』(歴史文学賞)『つらつら椿』(町田文化賞)『芭蕉経帷子』『残る蛍』『数ならぬ身とな思ひそ』『詩あきんど 其角』(小社刊)『浜藻崎陽歌仙帖』(小社刊)、童話に『まほうのりんごがとんできた』など。
鵠舟 こうしゅう(本名 佐久間幸秀)
一九五〇年、東京都生まれ。一九七四年一橋大学法学部卒。銀行に就職。国内支店、本部勤務を経て、海外勤務(バンコク、大連)、日系企業の海外投資活動等を支援、退職後は、上場企業、海外合弁企業、銀行系不動産会社を経て現在はエンジニアリング商社勤務、学術財団監事。二〇一七年に連句会「解纜」に参加、同会終息のため、現在「泉声の会」所属。「銀座並木通り合唱団・団員。」