
ユング゠シュティリング 牧原豊樹=訳
心霊学の理論 予価:本体価格円+4800税
予定ページ数:464頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-321-4 C0398
刊行予定:2025年4月下旬
死後に人間の霊魂が赴く霊界は存在する。したがって、魂は永遠である。生命は永遠である。これだけの証拠を前にして目に見えない世界を頭から信じないのはよくない判断である。
ヴィルヘルム・グリム、フケー、C・G・ユングらを魅了し、人心を惑わす「危険な書」として発刊即、発禁となった禁断の書。霊界、幽体離脱、ドッペルゲンガー、テレパシー等々を克明に詳述したユング゠シュティリングの哲学的思索の総決算の書にして、スヴェーデンボリを超える心霊書。本邦初訳。ユング゠シュティリングの『心霊学の理論』は、素晴らしく含蓄の込もった、かつ人間味溢れる本だ。……まるでギリシア神話のようだ。――
アヒム・フォン・アルニムここハイデルベルクで市民を一つの家族のようにまとめているのは、類い稀なタイプの人間の真にドイツ的な、気の置けない調子です。先頭にいるのが我らがユング゠シュティリングです。私はこの人を本当に使徒と呼びたいぐらいです。その容貌からはものすごいエネルギーと、同時に子どものような無垢が、あらゆる発言の機会にほとばしり出ています。すでに老境に達しているのに、まるで若者のような力強さです。――
ヨーハン・ハインリヒ・フォス「シュティリング」と言えば、ドイツの人は「ああ、あの……」と誰でも分かるほどだ。〔…〕本書が多くの人々の懐疑主義に遭遇するであろうことは確実である。しかし、それにもかかわらず、おそらく大勢の人々が、人間の目からあの世の崇高な現実を遮断するカーテンを開いて見せる作品、事実と合理の力強い羅列でその言説を強めてみせる作品、すなわち本書を歓迎することになるだろう。――
ジョージ・ブッシュ(十九世紀アメリカの聖書学者)
【著者略歴】ユング゠シュティリング(Jung-Stilling 1740–1817)
ドイツの小説家。本名ヨーハン・ハインリヒ・ユング。現在のノルトライン゠ヴェストファーレン州の村グルントに、学校教員で仕立て職人の息子として生まれる。強い敬虔主義的環境に育ち、学校教員と仕立て職人の職を転々としながら、二十代後半に医学の道を志す。シュトラースブルク大学医学部で学び、ゲーテ、ヘルダー、レンツなど当代ドイツ文学の俊英らと知り合う。一七七七年、ゲーテが手を入れて出版した『ヘンリヒ・シュティリングの少年時代』によって一躍有名になり、その後、医者、さらに大学教授等をしながら、キリスト教の民衆宣教文学を執筆。その文学的名声はロシアから中東、米国まで文字通り世界中に渡った。
【訳者略歴】牧原豊樹(まきはら・とよき)
1964年、北海道室蘭市生まれ。金沢大学文学部文学科卒業(独語独文)、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了(独文学)。編集者・翻訳家。訳書に、ユング= シュティリング『ヘンリヒ・シュティリング自伝 真実の物語』(幻戯書房、2021年)がある。