
東 龍造ごんぼ色の残照 大阪龍造寺町物語 (小学生編 高校生編の2分冊)※「ごんぼ」は大阪ことばで「ごぼう」のこと
予価:本体価格各2,200円+税
予定ページ数:各224頁
四六・上製
ISBN978-4-86488-328-3。329-0 C0093
刊行予定:2025年8月下旬
【小学生編】えらいこってすなぁ。オリンピックと阪神の優勝。
盆と正月が一緒に来たようで――
忍者ごっこに銀玉鉄砲、駄菓子屋の氷饅頭、生國魂神社《いくたまさん》の夏祭り、日生球場のカクテル光線、上町筋の聖火リレー……大阪人の闊達に揉まれ、路地《ろぉじ》を走りまわった昭和39(1964)年、“ガキ大将”の躍動の日々。
家出した親友、逝きし同級生、初恋と失恋、小説・昭和の大阪。
(本文より) 昭和三十九年十月二十三日の金曜日。
この日、オリンピックの女子バレーボールで“東洋の魔女”と呼ばれた日本チームが強豪ソ連チームをストレートで破り、悲願の金メダルを獲得、日本国民を歓喜の渦に巻き込んだ。東京五輪で一番華々しい日として、そして日本のスポーツ界に金字塔を打ち立てた記念すべき日として、後世、人々の記憶に刻まれることとなった。
堅太にとってもこの日は終生、忘れ得ぬ日となった。
【高校生編】せや、爆発させたかったんや。
対象はなんでもよかったんや。
屋上でふかしたタバコ、ビートルズ解散、教室で炸裂するロック、今里新地の部屋のシミ、赤目渓谷の飯盒炊爨、御堂筋の10・21国際反戦デー……昭和46(1971)年、〝遅れた世代〟の逡巡の日々。
仲間のすれ違い、親友との再会、恋の裏切り、小説・昭和の大阪。
(本文より) せやけど、完敗ってなんやねん。どんなレースを、だれと走ってんねん。人生のレースってみんなおんなじなんやろか。いや、だれもが八百メートル走にチャレンジしてるわけとちゃうやろ。百メートルもあれば、四百メートルもある。ひょっとしたら、マラソンに挑んでる奴がおるかもしれへんし、走り幅跳びや走り高跳びの試合に出てる奴もおる。いろんな土俵があるんや。うーん、もうええわ、他人《ひと》と比較するのはやめや。人は人、おれはおれ。いまは視界不良やけど、そのうちなんか見えてくるやろ。そう思わなやってられへんわ。Take it easy!
【著者略歴】東 龍造(ひがし りゅうぞう)昭和29年(1954)、大阪市生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。日本ペンクラブ会員。小説作品に『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』(幻戯書房 2021)、『おたやんのつぶやき 法善寺と富山、奇なる縒り糸』(幻戯書房 2023)がある。また、エッセイストとして本名の武部好伸で映画、ケルト文化、洋酒、大阪をテーマに執筆を続け、著書に「ケルト」紀行シリーズ全10巻(彩流社 1999~2008)、『ぜんぶ大阪の映画やねん』(平凡社 2000)、『スコットランド「ケルト」の誘惑 幻の民ピクト人を追って』(言視舎 2013)、『ウイスキー アンド シネマ 琥珀色の名脇役たち』(淡交社 2014)、『大阪「映画」事始め』(彩流社 2016)、『ヨーロッパ古代「ケルト」の残照』(彩流社 2020)、『ほろ酔い「シネマ・カクテル」 銀幕を彩るグラスの美酒たち』(たる出版 2024)などがある。