

〈ルリユール叢書〉第49回配本 (70冊目)
ベニート・ペレス=ガルドス 大楠栄三=訳
スカートをはいたドン・キホーテ 予価:本体価格5,900円+税
予定ページ数:632頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-330-6 C0397
刊行予定:2025年8月下旬
神よ、どうしてあたしを高貴な生まれにしたの? どうして卑しい庶民として生んでくれなかったの? どうして頭から足まで下層民に、容姿も下層民に、振る舞いも下層民に、魂も下層民にしてくれなかったの?……
『ドン・キホーテ』のパロディーたるスペイン自然主義文学にして、マリオ・バルガス゠リョサに「20世紀初頭の前衛小説に先んじた手法」と称された《非現実の夢》を用い、首都マドリードの都市空間の綾を読み解くベニート・ペレス゠ガルドスの都市小説の傑作長編。本邦初訳。
大作家だったのか。そのとおり。セルバンテスと較べるのはやりすぎだし、彼にはそのつもりもなかった。だが十九世紀と二十世紀初頭、ペレス゠ガルドスほど創意と工夫をもって粘り強く文学に身を投じたスペイン作家はいない。――
マリオ・バルガス゠リョサスペインの現代小説は、ガルドスから始まったと考えている。――
カミロ・ホセ・セラフェデリコ・ガルシア゠ロルカと、マドリードの飲み屋で昼食を取っていたとき、われわれは互いがガルドスの熱烈な賛美者だと知った。――
ビセンテ・アレイクサンドレ息子たちには自分の父親への反抗心が、父親を非難する傾向があるもの。だからこそ私は、ガルドスを二度と読もうとは思わない。――
ミゲル・デ・ウナムーノ僕には、あのすばらしい作家、民衆の偉大な師であったドン・ベニート・ペレス゠ガルドスについて、あどけない思い出がある。幼少の頃、集会で彼がメモを取り出し読みあげるのを目にした。それはスペインでもっとも本物の、深みある声だった。――
フェデリコ・ガルシア゠ロルカ【著者略歴】ベニート・ペレス゠ガルドス(Benito Pérez Galdós 1843–1920)
大西洋に浮かぶグラン・カナリア島に生まれ、英米の文化的影響のもと育つ。マドリードに上京して以来、生涯、自由主義の立場から多様な作品を執筆しつづける。ブニュエルによって映画化された『悲しみのトリスターナ』の原作者として知られるが、本国スペインでは「セルバンテスに次ぐ」と評され、ジャーナリズム活動のほか、小説20篇、歴史小説46篇、戯曲26篇という創作活動から、19世紀ヨーロッパの巨匠たちに比肩しうる作家である。
【訳者略歴】大楠栄三(おおぐす・えいぞう)
1965年、福岡県甘木市生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在、明治大学教授。専門は19世紀後半から20世紀初頭のスペイン小説・文化。訳書に、『ホセ・マルティ選集 第1巻――文学篇』(共訳、日本経済評論社)、ベニート・ペレス゠ガルドス『ドニャ・ペルフェクタ――完璧な婦人』、エミリア・パルド゠バサン『ウリョーアの館』(ともに現代企画室)、バリェ゠インクラン『独裁者ティラノ・バンデラス――灼熱の地の小説』(幻戯書房)、マリオ・バルガス゠リョサ『ペレス゠ガルドスの穏やかな眼差し』(近刊、水声社)がある。