

〈ルリユール叢書〉第50回配本 (72冊目)
スティーン・スティーンセン・ブリカー 高藤直樹=訳
>ヴァイルビューの牧師 他六篇
本体価格3,200円+税 定価3,520円
ページ数:320頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-332-0 C0397
刊行予定:2025年9月下旬
私は二十年間というもの、自分がこの世の楽園に居ると信じ込み、足元で密かに燃え盛る火山の上を彷徨っていた。──天国と地獄とを分ける危うい地殻の上を。それが今崩れ、私は燃え上がる深い裂け目の中へ沈んだのだ。
デンマーク辺境の荒地を描いてアンデルセンやキェルケゴールを魅了し、19世紀前半の〈デンマーク黄金時代〉に詩的リアリズム文学を大成したスティーン・スティーンセン・ブリカー。表題作はじめ『ある教会書記の日記』など、人間の避けられぬ悲運や孤独を描いた全7篇の傑作短編集。(ブリカーの)全世界を破砕してしまう唯一の三段論法。――
セーレン・キェルケゴールさあ(ブリカーを)お読みください。その自然描写、人間描写、洞察や感情を捉え表現する驚くべき確かさ、台詞の並外れた自然さ、物語を構築する巨匠的な巧みさ、生き生きとした多様性に感嘆してください。――さてさて、その全てを私が語るべきではありません。それらはお読みになるうちに、あなた方ご自身が感じ取られることでしょう。――
カイ・モンク十九世紀の前半はデンマーク文学における転換期であり、小説や短編小説が文学的関心の中で高い地位を獲得し始め、さらには文学的枠組みの中で支配的になり始める時代である。この転換期における偉大な人物がH・C・アンデルセン、セーレン・キェルケゴール、そしてスティーン・スティーンセン・ブリカーである。――
セーアン・バゲセン【著者略歴】スティーン・スティーンセン・ブリカー(Steen Steensen Blicher 1782–1848)
19世紀前半のデンマークを代表する短編小説作家、詩人。中部ユトランドのヴィーオムに生まれ、コペンハーゲン大学神学部に学ぶ。詩人としても知られるが、その本領は短編小説にあり『ある教会書記の日記』や『ヴァイルビューの牧師』などが名高い。ユトランド方言を基礎とする独自の文体によりユトランド文学を確立、その哀調と悲劇性に富んだ作品は童話作家H・C・アンデルセンや哲学者セーレン・キェルケゴールらに愛読された。現代に至るまで多くの読者に親しまれ、広汎な影響力を維持している。
【訳者略歴】高藤直樹(たかふじ・なおき)
1951年、浜松市生まれ。東京外国語大学および同大学院修士課程修了。デンマーク政府奨学金留学生としてコペンハーゲン大学組織神学研究所セーレン・キェルケゴール研究室留学。著書に『キェルケゴール思想へのいざない――エロス、理性、聖性の音楽家としての』(ビネバル出版)、訳書にヴィゴー・ショークヴィスト『コンスタンツェ・モーツァルトの結婚』(音楽之友社)、ダイアナ・バーグウィン『ザルツブルク町の肖像』(草思社)、ヘリエ・サイゼリン・ヤコブセン『デンマークの歴史』(ビネバル出版)などがある。