
〈ルリユール叢書〉第58回配本 (77冊目)
ルイ゠フェルディナン・セリーヌ 森澤友一朗=訳
ロンドン予定ページ数:648頁
四六変形・ソフト上製
ISBN978-4-86488-341-2 C0397
刊行予定:2026年2月下旬
おれには全くロンドンは忘却を与えちゃくれなかった、これっぽっちもだ。かつてのおぞましい記憶の数々がすっかり戻ってきてた。それに霧が濃ければ濃いほど逆に記憶はなかなか消え去っちゃくれない。
セリーヌの詩情の源泉たる霧の都ロンドン。女衒(ぜげん)やアナキストが跳梁するこの魔都は、やがて海彼(かいひ)の世界大戦の熱狂に飲まれて錯乱の渦と化してゆく――『戦争』の続編となる幻の未発表作品にして、セリーヌのグロテスク・リアリズムが最高純度で炸裂する自伝的悪漢小説が本邦初訳で登場!プルーストとセリーヌが、二十世紀前半の二大作家だ。[…]ではセリーヌの何がかくも非凡なのか。それは実にうまく書けていることだ。そこに音楽があり、リズムがあることだ。以上に尽きる!――
クロード・シモンセリーヌこそ真のユダヤ作家だ。彼の書くものは実にユダヤ的だ… あれほどまでにユダヤ的な形式など考えられない… ところが文体や音調に関して最も偉大なこのユダヤ作家が、実はユダヤ人じゃないというじゃないか… それどころか反ユダヤ主義者なのだと…――
パトリック・モディアノ二十世紀で一番偉大な作家といったら、私にはやっぱりセリーヌだ。――
ジョルジュ・ブラッサンスセリーヌは、文学史上でその文体が大地震を巻き起こしたひと握りの作家たちの一人です。[…]彼の中にはラブレーとシェイクスピアとセヴィニェ夫人が同時に蠢いているのです。――
ファブリス・ルキーニ僕自身はセリーニアンというより、あくまで彼を演じてきた俳優だからね。[…]ルキーニは彼のことを大作家として祭り上げるけど、僕が興味があるのは、この作家の歪みや、人間に対する苛烈さを表現することなんだ。[…]矛盾だらけのこの強烈な男にシンパシーを感じてるってことさ。――
ドニ・ラヴァン【著者略歴】ルイ゠フェルディナン・セリーヌ(Louis-Ferdinand Céline 1894–1961)
フランスの作家・医師。パリ郊外で医業に携わるなか、俗語・卑語を駆使したデビュー作『夜の果てへの旅』で圧倒的反響を巻き起こした。第二次大戦にあたっては、激越な反ユダヤ主義パンフレットを書き連ねたため、終戦間際にデンマークへ亡命、現地にて逮捕、収監された。大赦を得ての帰国後は、パリ郊外ムードンに居を構え、亡命行を主題とした三部作などでフランス語の構文を破砕する言語実験を推し進めた。死後も現在に至るまで、その文学的達成と反ユダヤ主義言説との関係が国内外で度々スキャンダラスな議論を巻き起こし続けている。
【訳者紹介】森澤友一朗(もりさわ・ゆういちろう)
1984年、岡山県生まれ。翻訳者。劇団解体社所属、パフォーマー・文芸・制作。東京大学文学部フランス語学フランス文学専修課程卒。劇団では過去に「セリーヌの世紀」と題して、訳し下ろしたセリーヌのパンフレや小説を題材とした連作を国際プロジェクトとして展開。訳書にセリーヌ『戦争』(幻戯書房、第三十回日仏翻訳文学賞奨励賞)。